ひとりぼっちのやさしい怪物とやさしいモンスター
絵・文 マツオミホ
2004,Berlin
ひとりぼっちのやさしい怪物
ひとりぼっちのやさしい怪物は、、、
夜の海に浮かんで思うのです もうすぐ もうすぐ 見つかる
おとといの雨が 冷たくて
はじめて ひとりぼっちが さみしいと 思ったから
きのうの風が 町のざわめきを 木々のざわめきを
つれてきたから
きょうは風も雨もない しずかな日曜日で
ひとりぼっちのやさしい怪物は
逆さになって 目を閉じたの ほら みつけた
ひとりぼっちのやさしいモンスター
一番大事な 赤い 一番星の実
君にあげるよ 赤い一番星の実なの
この赤い 一番星の実が 赤い一番星になったら
願い事が叶うんだ
やさしい怪物とやさしいモンスター
53日がたったある日 やさしいモンスターが泣いています
赤い一番星の実を 海に落としてしまいました
「あなたがくれた赤い一番星の実、、なくしてしまいました」
いいえ きっと 赤い一番星の実は赤い一番星になったんだよ
一緒に 一緒に探しにいきましょうよ きっと 見つかる
きっと 見つかるはずだから きっと 見つかるはずだから
まだ見つからないね まだ見つからないね
いくつもの夜をこえて 波を 風を こえて
みつけたよ 赤い一番星 みつけたよ

ひとりぼっちだったやさしい怪物と
ひとりぼっちだったやさしいモンスター
もう ひとりぼっちじゃないね


おしまい
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